2023/08/28 vol.22
「他人が9時の出社でも、お前は8時だ!」、「自分のミスだろう、残業をつけるなんてとんでもない!」、「風邪引くのは、お前自身の気の緩みでしょう。明日の立会いはキャンセルできん。死にはしないはずだ、出勤しろ!」。卒業して入社したばかりの頃、よく上司にこう叱られました。いやぁ、本当に参ったと今でもよく覚えています。一方、その上司は、仕事のやり方などは親身に指導してくれるだけではく、お正月などは、ご自宅に招待してご馳走をしてくれたりすることもよくありました。厳しい上司でしたが、「いやだった」という感覚はまったくありませんでした。
それから数年経った後、ある尊敬する経営者から話を聞く機会がありました。「相手に対して好意を持てば、例え、一時的に誤解があっても、時が経てば必ず好かれるようになる。好意をもつことこそ、人と人の信頼関係を作る基本」。それを聞いて、入社時の上司を益々尊敬するようになりました。また、それ以来、私は相手のことを好意的に接することを心がけるようになり、不思議なことに、仲間がどんどん増え、悩みが笑い声に変ったのです。
研究開発においても、一人でできることは限界があります。どうしても、仲間に協力してもらわなければならないこと、他社に依頼しなければならないことが、多くあります。そして、行き違いがあったり、言い方が気に食わなかったり、などが起こります。大切なことは、「同じ仲間だ、運命共同体で一緒に成果を作り出しているんだ」と考えることです。要するに、好意を持って相手に接することです。実は、家族関係も同じです。同じ屋根の下で暮らしているのですから、日々の摩擦は必ず生じます。相手に好意をもって接することができれば、摩擦はあってもひびにはなりません。
一般社団法人 日本パワーエレクトロニクス協会
代表理事 楊 仲慶