パワーエレクトロニクスとは、電力を変換するための技術です。
家電製品やモーターなどを動かすには、適切な電気を供給する必要があります。
電気の種類には大きく分けて「直流」と「交流」があり、直流を「DC(Direct Current)」、交流を「AC(Alternating Current)」と略します。
例えば、家庭用コンセントから出力される電気はAC100V(交流の100V)と略します。
乾電池の場合は直流の1.5Vを出力します。家電製品は交流の100Vで動作しますので、乾電池で家電製品を動かすことはできません。
乾電池は多数接続して100Vにしたとしても、家電製品を動かすには交流が必要ですので、やはり家電製品を動かすことはできません。
このように家電製品やモーターを動かすには、適切な種類の電気を適切な電圧で供給する必要があります。
電気の種類や電圧を変換するのに必要となる技術がパワーエレクトロニクス技術です。
また、パワーエレクトロニクス技術を使って電気の種類や電圧を変換する変換機をインバータまたはコンバータと呼びます。
近年、太陽電池に代表される再生可能エネルギーの普及や電気自動車の普及により、パワーエレクトロニクス技術は生活の至るところで使われるようになりました。
例えば、太陽電池や蓄電池の出力は直流ですが、家電製品を動かすには交流が必要です。
このため、太陽電池が作り出す電気で家電製品を動かすには、直流を交流に変換しなければならず、パワーエレクトロニクス技術を使ったインバータが必要となります。
ハイブリッド車や電気自動車に搭載されている電池も出力は直流ですが、自動車のモーターを動かすには交流が必要となります。このため、電池が出力する直流の電気を交流に変換しなければならず、やはりパワーエレクトロニクス技術を使ったインバータが必要となります。
ここで、直流と交流の電気について説明します。
直流の電気は、例えば乾電池が出力する電気です。電圧は一定であり、電気は一定方向に流れ続けます。
交流の電気は、例えば家庭用コンセントから出力される電気です。電圧は常に変化しており、プラスの電圧とマイナスの電圧が交互に出力されています。
交流の電気は、長い距離を送電するのに適しています。
発電所から各家庭まで電気を送り届けるのに、直流ではロスが大きく、送電することができません。このため、各家庭には交流の電気が届けられています。
再生可能エネルギーや電気自動車の普及により、パワーエレクトロニクス技術の重要性がますます高まっています。
また、電気をロスなく効率的に変換するには、高度なパワーエレクトロニクス技術が必要となります。
高度な機能を備えた多くの種類のインバータやコンバータの製品開発が必要となっていますが、パワーエレクトロニクスに習熟した技術者は少なく、慢性的なパワーエレクトロニクス技術不足に陥っています。
このため、パワーエレクトロニクス技術者の育成が急務となっています。