「もっと効率よく仕事をしたい」、「もっと多くの仕事をこなしたい」、誰もがそう思うはずです。しかし、現実には、なかなか思うようにことが運べない、うまく行かないことが多いのではないでしょうか。その原因は何でしょうか。私は、事前準備をしっかりやっているかどうかにあると思います。
モータ性能実験を例にとってみましょう。まず、モータのテストベンチ、測定装置、配線、制御プログラムデバッグ用開発環境、様々な準備が必要です。例え、配線一本足りなくても、実験を進めることはできません。多くの技術者は、事前の準備を念入りせず、いきなり作業を始めようとします。結局、これを探したり、あれを人から借りたりして、準備の手間取りや他人との調整に時間が取られてしまうのです。肝心な実験がなかなか進まず、工数オーバーが発生し、納期遅れ、採算悪化の原因になります。
最近、講演してほしいという依頼が時々来ます。私はまず、何を話すか、そのストーリーを考えます。そして、そのストーリーに沿って、どんな材料(ネタ)が必要かをリストアップします。そして本やインターネットから調べておきます。また、友人や先輩にもそのような材料・資料はないかお願いをすることもよくあります。そうした準備が整えた状態で、講演資料の作成に取り掛かるのです。実際の作成は、まとめる程度ですので、数時間もあれば、およその講演資料ができてしまうことが多いです。
やると決まった時点で、そのまま放置せず、すぐにどんなもの、資料が揃うかを検討します。特に他人に依頼しなければならないもの・ことは、早めに依頼することがコツです。
一般社団法人 日本パワーエレクトロニクス協会
代表理事 楊 仲慶