2023/04/03 vol.1
技術の仕事は事務や企画と違って、時間をかければ必ずできる、または問題解決できるというわけではありません。サラリーマン時代、入社してまもなく電源装置の開発の担当をさせてもらった時の話です。
毎日夜遅く、時には朝方まで電源装置の試作機の前に座って、ひたすらプログラムのデバッグをしていました。しかし、電源装置は期待通りの波形を出してくれない。「もういや!装置をぶち壊したい」という衝動は何回もありました。それでも、諦めずに頑張ってきたのは、自分を支えてくれる言葉があったからでした。「Engineering is the best way to help people」「そう、なんでそんな苦しいことをやっているのか?それは、人を助けるために、やっているのだ。人を助ける一番よい方法が技術(Engineering)なんだ」と。
人に役立つこと、それは、自分自身の価値の証でもあり、喜びの源泉でもあります。また、一生懸命に努力すれば、やがて成果が生まれ、周りからも評価され、報酬もあがるし、それは自分にとってもうれしいことで、さらに頑張る。いわば、プラスの循環が生まれるのです。そして、人は自分のために頑張ることは限界があり、困難やトラブルに遭遇すると、諦めやすい性質があります。ですから、家族のため、人のため世のために頑張ることは、周りからも応援してくれるし、やり続けることができます。
今、私はパワエレ協会で新しいビジネスとして、パワエレ技術者の継続的な学習、技術者同士の交流の場の提供を行っています。是非、パワエレ業界のさらなる発展に貢献したいと思っています。
ちなみに、「Engineering is the best way to help people」という言葉は私の専門分野である、アメリカ・IEEEのTransaction誌の表紙に載っています。苦しいときに、迷うときに、常にこの言葉を思い出すようにしています。これが、自分の仕事の動力となっています。皆さんも是非、仕事の動力となるような言葉を見つけてください。
一般社団法人 日本パワーエレクトロニクス協会
代表理事 楊 仲慶