2025/4/28 vol.109
当社創業間もない、社員がまだ3―4人の時期のことです。某大手メーカ、技術開発主任だったM氏がわが社に訪れ、「私は、先駆けて太陽光発電装置を世の中に出したい。是非、楊さんに力を貸してほしい」と言ったのです。太陽光発電の系統連系制御原理すら分からない私が、無謀にも「はい」と答えてしまったのです。それより、たった3-4人に会社に開発を依頼した相手が無謀だったと言った方が正しいかもしれません。
当時、ほとんどのパワエレ機器がアナログ制御でした。私は、これからの時代は必ずデジタル制御が主流になると信じて、デジタル制御用の開発環境を出したのです。M氏は、私のことを信じてくれたのでしょう。
開発は受けたものの、その後は毎日格闘の連続でした。M氏は、系統連系ガイドラインや系統連系の制御原理など、自ら調べて親切に教えてくれただけではなく、何か成果を出した時には、私も含め、彼の部下達を居酒屋に連れ出して、一緒に喜んでくれました。約1年間の月日を費やして、試作開発は成功しました。振り返ってみると、私がお客様に協力したというより、お客様から教えていただいたことが多かったと思っています。M氏を始め、お客様の皆さんには本当に感謝しております。
その後、そのメーカの太陽発電事業は大きく花開きました。15年後のある日、久しぶりにM氏とグラスを傾きながら、その頃の話を懐かしく振り返りました。M氏はその頃、部長になられ、よい製品を世に出したいという情熱、そして、地球にちょっぴり貢献したいという志がさらに、強くなったと感じさせられました。人類がいま、環境問題・エネルギー問題に直面しています。二人は、これから、パワエレ技術を社会に広げていこうと新たな決意をした次第です。
一般社団法人 日本パワーエレクトロニクス協会
代表理事 楊 仲慶
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