2025/2/24 vol.100
技術者として、自分の成長を考えない人はいないだろう。特に最近、新卒でも転職者でも、自分はこの会社に入って、成長していけるかどうか、気にする人がとても多いようです。では、自分が成長していくために、何が重要ですか?多くの人は、教えてくれる先輩がいることを重要視しているようです。確かに教えてくれる人がいれば、それだけで勉強が楽になります。しかし、それが自分の成長にとって一番重要だと私は思いません。
以前、当社の研修でNHKの「プロジェクトX」で、VHS開発の物語を見ました。主人公の高野鎮雄氏が50人の技術者の中から、主担当に起用したのは何と2人の若手でした。梅田弘幸氏、当時24歳と大田喜彦氏、当時29歳。2人とも工業高校卒ですが、気が強く好奇心旺盛な青年でした。もちろん、VHS開発は新しい挑戦で周りから教えてくれる人はいません。2人は見事に高野氏の期待に応えて、ソニーに逆転勝ちを果たしました。ですから、周りから教えてくれる人がいることよりも、やる気や情熱、成し遂げたいという使命感が自分の成長にとって一番重要だと私は思います。
わが社を見ても納得します。同時期入社しても、やる気と情熱、そして、成し遂げたい使命感を持つ人は早く成長します。周りに教えてくれる人がいないとぶつぶつ言う人、会社が悪いと愚痴をこぼす人は、結果的に落ちこぼれていくのです。
30歳に独立した私は、経営どころか、技術も中途半端でした。周りに教えてくれる人がいないので、本を読み漁ったり、お客様に図々しく聞いたりしていました。何でも自分でやる必要があったので、教えてくれたこと、調べたことをどんどん吸収していきます。その意味で、成長していくには、任せてくれる環境、活躍できる舞台が一番重要ですね。わが社では、やる気のある人にチャンス・舞台を提供したい、それが、私自身の責務であると自覚しています。
一般社団法人 日本パワーエレクトロニクス協会
代表理事 楊 仲慶