転職準備・・・失敗しないためには何をすればいいの?
今回のコラムのテーマは「転職の準備」です。昨今では転職市場が活性化されてきています。売り手市場という言葉もあり、転職が簡単にできそうな印象の広告も見受けられますね。しかしながら、簡単に転職と言っても、自分自身の将来を左右する大事なイベントになるので、しっかりとした“準備”が必要と考えています。
最終的には自己表現ツールとしての職務経歴書の完成度を高めることで、転職の準備が整うと考えますので、準備として5つのステップをご紹介します。
①転職を考えた動機の整理、②キャリアの棚卸、③スキルの棚卸と価値観の整理、④業界や業種の調査、⑤職務経歴書の作成、という流れで解説します。
■ステップ①:転職を考えた動機の整理■
転職を考える際には、最初にその動機を客観的に整理することをお勧めします。動機を「不満や不安」と、「向上的に新たなキャリアを形成したい」という動機とに分類して整理してみましょう。例えば、「今の仕事には満足しているが担当したい開発業務ができない」「会社の将来性や人間関係で悩んでいる」「スキルをもっと活かしたい」「給与アップさせたい」など、様々な動機があります。書き出して整理し、重要度合いが高い順番に並べると気持ちの整理ができ、自分自身の進みたい方向性が見えてくるでしょう。
■ステップ②:キャリアの棚卸■
次に、これまでのキャリアを棚卸ししていきます。以下のステップに従って、整理しましょう。
- 部署・期間・役割を明確に記述します。
- どのような仕事を誰と行ったかを具体的に記述します(一人で行ったのか、チーム協働か、部署全体で実施か)。
- 成果を生み出した場合のWhat(何を)とHow(どのように)について整理し、経験を振り返ります。
- 職務経験を通じて学んだこと、得られた知識や技能、貢献できたことを箇条書きで整理してください。
このように自分のキャリアを整理することで、効果的なアピールができるようになります。
■ステップ③:スキルの棚卸と価値観の整理■
キャリアの棚卸ができたら、自分の強みや将来に向けて伸ばしたいスキルについて考えていきます。スキルは、「実務経験の積み重ねで身に着けた領域」と「専門資格を保有しているが実務経験がない領域」という2つの領域で構成されます。自己成長の方向性を確認するうえで、継続的なスキルの向上を図ることは大切であり、どちらを伸ばすことが自己成長の方向性にマッチするかを客観的に考えてみましょう。
そして、仕事で感じた感情や喜び、満足感から、自分自身が仕事に対してどのような価値観やこだわりを持っているのか再確認します。自己成長の方向性を確定させるには、自分自身のこだわりや価値観も意識し、今後の働き方を計画的に考えることで、自分の理想とするキャリアビジョンに近づいていくと考えます。
■ステップ④:業界や職種の調査■
次に、どのような業界や業種で活躍したいのかを考え、その業界の将来性や企業風土について調査してみましょう。現在では、インターネット上で業界の将来展望や企業のビジョンを公開している場合があります。希望する業界をよく理解することは転職準備の重要なステップですので、積極的に情報収集を行うことを推奨しています。自分のキャリアに合った業界や企業を見つけることで、より充実した職業生活を送ることができるでしょう。
ここで、パワエレ技術者にとって大事な点は、「希望する会社の製品はどこで開発しているのか?」といった観点です。
全ての製品を自社で開発していない場合も多くあります。詳細を調べるには、公式サイト以外の様々なところから情報を集めることが必要です。
■ステップ⑤:職務経歴書の作成■
これまで整理してきたことを、職務経歴書にまとめることが最後のステップです。職務経歴書は自分自身のセールスシートともいわれ、採用担当者が最初に見て一次選考の判断をする重要なツールになります。
経験を通じて得た能力や貢献できる内容を簡潔に記述することができれば、先方に短時間で理解してもらえるツールとなります。あまり細かすぎると読み手の興味関心を損なうことがあることも理解しましょう。
職務経歴書には様々な書き方がありますが、個人的には以下の流れを推奨しています。
- サマリーで自己アピール
エントリーする企業でスキルや資格を活かしてどのように活躍できるかを明記します。
この部分は重要であり、応募したい企業や募集要項に応じて再構成が必要です。応募する企業や募集職種に応じて活躍・貢献できること、「強み」をアピールしてください。
- 職務経歴
直近の仕事から順次過去の経歴へと記載する「逆編年式」といわれる記述方法が比較的多く使用されています。
特に技術専門職等では、経験〇年と書いても伝わりませんので、より具体的な記述が望まれます。
ステップ③でも説明いたしましたが、以下の記載を推奨いたします。
■部署・期間・役割・成果を生み出した場合のWhat(何を)とHow(どのように)
■職務経験を通じて学んだこと、得られた知識や技能、貢献できたことを箇条書きで記述
- 保有資格など
一般的な資格に加えて特記できる資格を上位に書くのも一案です。
転職準備としての5つのステップを解説してきました。もちろん、一人でやることもできますが、専門家と相談しながら整理するという選択肢があります。「パワエレ転職」では、パワエレ業界に精通した認定コンサルタントが将来のキャリアを考えるお手伝をします。相談は無料ですので気軽に登録して相談してみませんか?
2024年9月12日
執筆者:古市 健 (C’sキャリアコンサルティング株式会社 代表取締役)