―――「ノイズ対策技術」の受講で得られる知識を教えてください。
パワーエレクトロニクスとノイズとは、切っても切れない関係にあるのは、よく知られています。ノイズ対策を適切に行わなければ、期待する性能及び信頼性を得ることができません。このセミナーでは、ノイズとは何かを解説し、何故ノイズが発生するのかについてお話します。ノイズの原因は全て人間の側にあります。我々電気電子のエンジニアは、電磁気学をベースに仕事をしていますが、具体的な業務では適当な仮説を立てた近似式を使っています。オームの法則も代表的な近似です。近似の仕方が悪いと、ノイズが発生します。アナログ回路と比較してディジタル回路がノイズ面でむずかしいことも説明します。パワーエレクトロニクスでは、電圧だけでなく電力をディジタル化しています。
次に、ノイズを定量的に扱ううえで必要となるコモンモードの概念を詳しく解説します。よく耳にすることが多いコモンモードですが、正確な定量的説明は余り目にしません。受講されると、コモンモードはこういうことだったのかと実感されるのではないでしょうか。コモンモード対策が理論的に行えるようになります。インバータに必ず使われている制御基板、ゲートドライブ基板のノイズ対策についても説明します。
最後に、ノイズ問題が起こり易いモータドライブ用インバータシステムのノイズについて、その原因、ノイズ発生の有無判別法、対策技術について解説します。
―――「ノイズ対策技術」理解することで、どのように業務に活用出来ますか。
第一には、ノイズを発生しにくい、ノイズで誤作動をしにくいインバータを設計・製造できるようになると考えています。
次に、既にインバータによる可変速ドライブを導入している現場でノイズ対策に苦労している人々へ問題解決の様々なヒントを提供します。
―――「大島先生」が設計に参画した製品と設計の苦労話をお聞かせください。
誘導発電機を用いた小水力発電システムの単独防止用インバータを開発したのですが、ゲート駆動回路まわりや制御基板でのコモンモードノイズ対策に苦労したことを覚えています。系統連系インバータに関しては、「インバータの系統連系技術」セミナーにおけるインタビューをご覧ください。