―――「つくりながら学ぶDCモータ」の受講で得られる知識を教えてください。
実技を中心に構成されているセミナーですので、実際に普段、エンジニアの方が作図したり開発したりという範疇ではなく、現実にものを作るという作業をしていただきます。それにより、自らが設計するモータがどのように作られるのかという過程を学んでいただきたいと考えています。実際に作業をすると、コイルを巻くことがいかに大変であるか、モータを組み立てることにどのくらいの時間がかかるのかということを、肌で感じて理解できます。
―――「つくりながら学ぶDCモータ」を理解することで、どのように業務に活用出来ますか。
コイルを巻くという1つの作業をとっても、シミュレータの出した答えと、計算をして理論上出た答え、作業者が感じる難易度(作れる、作れない)ということは必ずしも一致しません。「シミュレータで出た答えがあるから、これを作ってください。」ということは非常に非効率な生産になってしまうことになります。工数が長くなり、非常に価格の高いものになってしまいます。そのような結果にならないために、商品開発を効率的に経済的に完成させるための力になると思っています。
―――「津川先生」が設計に参画した製品と設計の苦労話をお聞かせください。
私の会社では色々な種類のモータを作っています。最終のモータが使われるアプリケーションは、様々な商品にわたっています。最近のトレンドは、エアツールを電動ツールに置き換える、あるいは手動の工具を電動化していくというものが多くなっています。これらは、作動領域は回転帯域がほぼゼロになってしまう。ブラシレスでもブラシ付きモータでも、ゼロの回転領域になりますと制御することが非常に困難です。ゼロのままですとモータは焼けてしまいますし、適当な制御を施す(ゼロ回転の時に最大トルクを発生させる)ことはブラシレスでもDCのブラシ付きモータでもACのインダクタンスであっても、非常に困難な領域です。しかし、このような領域をお客様の依頼に応じてたくさん引き受けてしまい、実際に完成させるまでに2~3年の長期間を要してしまうという体験を、ここ数年続けてきております。