―――「モータ設計」の受講で得られる知識を教えてください。
モータ設計入門は、これからモータの設計を始めるエンジニアに向けた講座であると思われるかもしれませんが、実は別の狙いがあります。もちろん設計の入門編として受講していただけば、それなりの成果があると思います。しかし、この講座は、モータを購入するエンジニアに向けた講座なのです。モータの設計はどのように進められるのか、モータの設計では決められないこと、設計の限界はどこから来るのか、などの知識です。この講座は設計法を教えるのではなく、設計に関する様々な知識を教えます。この違いが判ってもらえるでしょうか。
―――「モータ設計」理解することで、どのように業務に活用出来ますか。
いま述べましたように、モータ設計の入門として活用してもらえると思います。しかし、モータの設計は「学」ではなく「術」です。勉強して身に着くのではなく、体得するものです。「武術」とか「芸」に近いのではないかという思いもあります。この講座ではモータは自社で製造せずに、外部にお願いするような方が、モータの設計の知識を得ることができます。それにより、「無い物ねだり」をしなくなること、さらに、より良いモータが開発できること、などの活用できると思います。モータに関係する業務を進める際の基本知識としては、当然活用できると思います。
―――「森本先生」が設計に参画した製品と設計の苦労話をお聞かせください。
大学では、新しいモータについて研究していました。その際、モータを試作して、アイデアを実証しないと論文が書けないので、モータの試作は何回も行いました。学生に設計させるのですが、教科書を見ながらでも、修士の学生なら、そこそこ設計できるようになります。そこから私が、教科書に出ていないような、製造との絡みで決まるようなことを細かく決めてゆきます。その結果を試作する会社にお願いするのです。書類で発注して、納品してもらうというような試作ではありません。限界に挑戦するような部分は職人さんと一緒にやって、図面通りではなく、できるところまでやってほしいとお願いをします。試作会社の社長からは、「先生の依頼は、細かいところまで指示があるので、すぐ作れる。」とお褒めをいただきましたが、本心は「ほとんど決めてくるので、材料費のほかにお金を取るところがない。」ということのようです。そのような経験が、このような講座につながっています。モータは量産するとなかなか付加価値がない製品です。あるところに書きましたが、100gの単価は豚肉より安いのです。儲からない製品かもしれませんが、それでも、良いモータを作っていきましょう!